弘法大師ゆかりの霊場と言えば、『四国八十八ヶ所霊場』が良く知られていますが、拙記事日本の霊場でもとりあげたように、実は日本にはほかにも多くの弘法大師霊場があります。
ざっと調べでみると、「●●八十八ヶ所」「●●(新)四国」というような名の付くものだけでも60件以上あるほか、「●●弘法」「●●大師」と呼ばれる霊場も多数見られます。
弘法大師様ブランド、恐るべし。
そして、「日本三大新四国霊場」というくくりで、本家に次いで高名とされているのが、福岡県の『篠栗四国八十八ヶ所霊場』、香川県の『小豆島八十八ヶ所霊場』、愛知県の『知多四国八十八ヶ所霊場』だということです。
上述したように、愛知県では『知多四国八十八ヶ所霊場』が名を知られているのですが、愛知県にはまだ他にも、由緒ある弘法大師ブランドの霊場が多くあります。
そして、今回ここで取り上げるのは愛知県名古屋市の「ミニ霊場」である『名古屋三弘法霊場』(なごやさんこうぼうれいじょう)です。
手前味噌ながら、筆者の巡礼の際にもこのページをしばしば参照しています。よろしければスマホでの旅のお供にご活用ください。
『名古屋三弘法霊場』の概要
他の記事でも触れましたが、愛知県は寺院の数が日本で最も多い県です。
その中核である名古屋市も、大都会でありながら多くの寺院を抱えていますが、やはり巡礼対象の「霊場」も多数見られます。
昭和初めの開創
名古屋三弘法由来
名古屋三弘法は名古屋市の西南部に当り、第一番厄よけ大師 中郷宝珠院、第ニ番開運大師 多賀良浦弁天寺、第三番道びき大師 築港善光寺で、霊場開設の由来は昭和ニ年の秋、一人の遍路当地に来りて日く
「拙者本四国八十八ケ所霊場順拝中、第三十四番土佐の国、種間寺に参龍の砌り、夢に異僧本尊薬師如来の宝前に忽然として端座し、朗なる馨で大師和讃の
〇猶も誓のその中に五穀豊熟富み貴き、家運長久、智恵愛敬、息災延命且易産(開運誓願)
〇殊に見る目も浅ましき、業病難病受けし身は、八十八の遺跡によせて利益を成し給う。(厄除誓願)
〇悪業深きわれわれは、 つながぬ沖の捨小舟、生死の苦海果てもなし、誰を便の綱手縄、爰に三地の菩薩あリ、弘誓の船に櫓櫂とり、救済給える御慈悲の不思議は世々に新なり。(道びき誓願)
を唱えおらるるを聞き、 其の声微妙にして耳を離れず、四国順拝を終えて更に諸々の遺跡を順拝しようとする時、偶然にも此地に来り各寺を順拝し、大師和讃にいう三大誓願が、不思議にも此地の各地本尊、第一番中郷薬師如来(厄よけ)第ニ番多賀良浦弁財天(開運)第三番築港善光寺如来(道びき)の本願ど大師和讃の霊感が相応じて一層意義深かったので正しく大師の化現利生の霊地ならん」と誓ったことにより開創された霊場である。
毎月ニ十一日縁日
『名古屋三弘法』奉納経
昭和六年旧一月ニ十一日
名古屋三弘法霊場会
霊場の前身は特に伝えられていないようですが、「三」でまとめられた霊場も全国によくある話で、地域も限られたお手軽巡礼という意味では開創しやすいものでしょう。
そして、この霊場も戦災などの影響で、小さな波の衰退、再興を経ているようです。
約10kmのミニ巡礼
巡礼コースは、名古屋市南西部の3ヶ所で、札番の順に巡ると、クルマ行程で約11km。
季節によっては自転車でもちょうど良いコースです。
『名古屋三弘法霊場』 全体マップ・札所一覧
全体マップと、札所の一覧を以下に示します。
全体マップ
『名古屋三弘法霊場』札所のマッピングデータです。アイコンは札番にしてあります。
各データには宗派なども付記して参照しやすくしましたので、スマホをお持ちであればカーナビよりも有用だと思います。
お遍路ルートとしては、札番順のとおり巡る場合は、全体的には反時計回りとなります。
中川区を起点として、2番と3番は港区です。
札所一覧
『名古屋三弘法霊場』の札所はすべて愛知県名古屋市にあり、中川区、港区に分布しています。
札番、寺院名称〈通称・別名など〉(名称よみがな)、宗派、所在地、公式URLリンク、電話番号の順で記載してあります。寺院名称のリンクは当サイトの個別記事に遷移します。
札所 1-3
- 如意山 宝珠院(にょいさん ほうしゅいん) 真言宗智山派
愛知県名古屋市中川区中郷1-11 URL
052-231-6525 - 寶生山 辯天寺(宝生山 弁天寺)(ほうしょうざん べんてんじ) 真言宗智山派
愛知県名古屋市港区多加良浦町4-278-1 URL
052-381-2306 - 臨江山 善光寺(りんこうざん ぜんこうじ) 浄土宗西山派
愛知県名古屋市中区栄5-26-24 URL
052-361-0638
まとめ
この記事では、『名古屋三弘法霊場』についての概要や、具体的なルート情報などをまとめてみました。
尚、弘法大師霊場、お遍路についての知識や情報は本家の『四国八十八箇所霊場』めぐりにほぼ準ずるため、下記の当サイトの該当記事を併せてご参照いただければ幸いです。
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