今年のデビスカップ、非常に面白かった。
そして、F.フォニーニ、この男一人にやられたと言っても過言ではありません。
鬼でしたね。
いつか今大会日本代表の誰かにリベンジしてもらいたい…。
2018デ杯 WG 1回戦 日本-イタリア
ラバー1
F.フォニーニ vs ダニエル太郎
64 36 46 63 62
ラバー2
杉田祐一 vs A.セッピ
46 62 64 46 76
ラバー3
マクラクラン・勉/内山靖崇 vs F.フォニーニ/S.ボレッリ
57 76 67 57
ラバー4
F.フォニーニ vs 杉田祐一
36 61 36 76 75
ラバー5(打ち切り)
A.セッピ vs ダニエル太郎
フォニーニは、ツアーでもしばしば、その荒っぽい言動で物議を醸す個性的な選手です。
戦術の一つなのか、天然なのか、その人を食ったような態度で対戦相手は少なからず動揺することもあるでしょう。
ただ、テニスセンスは抜群ですし、単・複ともに屈指のプレイヤーであることは間違いありません。
そしてそのフォニーニが今回、日本チームの前にエースとして立ちはだかったのです。
ラバー1・2のシングルス、共に激闘でした。
太郎ちゃん、非常な善戦だったと思います。
ホームの応援を受け、第2、3セットの連取2-1でリードの場面も。
最終セット第3ゲームBPでのボレーミスは勿体無かった。
ただ、最終盤にはフォニーニに力負けだったように思えます。
むしろ伸びしろととらえたいのですが、やはり前に出ての攻撃をなんとかもう少し身に付けて欲しいです。
エースとして登場の杉田は、現時点では格下でも元単ランキング18位の実力者セッピとのフルセットマッチとなりました。
ここで落としては勢いもそがれる背水の陣、苦しい試合をよくぞ勝ちきりました。
1-1のスコアで迎えた2日目、ラバー3のダブルスも好ゲームでした。
ここにもフォニーニが登場、ボレッリとのペアは強かった。
雑なようで実は冷静でソツのないプレイが光りました。
ゲーム後にいきなりダッシュでトイレットブレイクをとるなど奇行も健在、周囲が呆然とする場面も演出します。
今回、ウッチーの大事な場面での決定力が少し落ちていたような気がします。
良い時間と悪い時間がはっきりしていていました。
勉のプレイは高値安定、このままでいけば複上位も窺えそうです。
無論、これから更に研究もされ、壁にもぶち当たるとは思いますが、今後も長く、日本の複の大黒柱になってほしいものです。
すべてを決めた激戦がラバー4。
エース同士の意地が火花を散らす超・好ゲームでした。
勝った瞬間のフォニーニのアクションも、彼にしてはあまり見られない光景でした。
杉田は本当に惜しかった。
ただ、私は、MPをとりながら勝ちきれなかった悔しさよりも、むしろ彼がこういう試合を経験できたことの喜びのほうが大きいです。
昨年中盤より大躍進といっても言いほどの成績を収めてきましたが、彼もそう若いわけではありません。
失礼かもしれませんが、ピークはこの2,3年と考えるのが自然だと思います。
今シーズンの前半に、全豪、デ杯という舞台で、名の知れた一流プレイヤー達との極限に近い激戦を経験できたということは、間違いなく近い将来の糧になっていると思います。
杉田には、輝かしい濃密な時を過ごして欲しいものです。
ともあれ、2012年以降、エース錦織圭の登場と、添田豪らの滅私奉公とも言える活躍で、日本もワールドグループ常連と言っても良いほどの陣容になりました。
今でこそ、普通にデ杯の話題で盛り上がることもできますが、かつてはこの国別対抗戦の存在すら日本ではあまり知られてもいませんでした。
その歴史的とも言える状況を、ベスト布陣ではなくても更に充実したものにしてくれている今大会の代表メンバーには感謝しかありません。
それにしてもフォニーニ、ある意味独り舞台。
今回はイタリアにとっての救世主となりました。無頼漢ヒーローの誕生です。
試合後、「岩手は寒いし、雪も多いし、もう来ないと思う」と、リップサービスもくそもないこの人らしいコメントでした。
毎度この人の試合を見ていると、ラケット投げなど、あまりに頻繁で普通のことに思えてしまいます(笑)。
良い子は真似しないように。