2019 グランドスラム 全豪オープン14日目、決勝、53回目の激突。
大会ドロー(トーナメント表)はこちら↓

試合のプレビュー(本稿)に結果を追記しますので、よろしければご再訪ください。
世代交代の声はどこへやら。
今大会、結局、N.ジョコビッチとR.ナダルの決勝戦です。
それぞれの準決勝で、仲良くベーグル付きでストレート粉砕された、L.プイユ、S.チチパスは、この2名との試合を、表現こそ違えど「次元が異なる」という旨の敗戦の弁を残しています。
私も同感です。
全豪オープン シングルス 決勝
N.ジョコビッチ(1) vs R.ナダル(2)
63 62 63
過去通算52回の対戦で、N.ジョコビッチ27勝、R.ナダル25勝。
直近3年間6回の対戦で、ジョコビッチ4勝、ナダル2勝。
グランドスラムでの通算14回の対戦で、ジョコビッチ5勝、ナダル9勝。
決勝での通算24回の対戦で、ジョコビッチ14勝、ナダル10勝。
グランドスラム決勝での通算7回の対戦で、ジョコビッチ3勝、ナダル4勝。
そして、全豪オープンでの対戦は1回のみ、2012年決勝、ジョコビッチの勝利(57 64 62 67 75)。
フルセット、試合時間は実に5時間53分。
両者の闘いのなかでも最も激しかったとされる試合のひとつです。
まだご覧になっていない方は是非どうぞ(^^; ↓
7年前、24歳と25歳が繰り広げた凄まじい激闘です。
二人とも若い(ナダルは特に)ですね。
優勝セレモニー中、立っているのがやっとの状態の両者を目にした観客や視聴者から、運営のスピーチが長過ぎると批判が飛び交ったという逸話も。
2012年の試合を観て驚くのは、現在30歳を超えた彼らが、当時と変わらぬ闘志と、そん色ない、いやむしろ洗練されたスピーディなアクションと多彩な技術をみせてくれていることです。
それだからこそ、今の優れた若手をして、「次元が異なる」と言わしめるのでしょう。
今大会はどのようなドラマが生まれるのか。
予想などおこがましい気がします。
[結果追記:2018/01/27]
世界中のテニスファンにとって、これが求めていた試合だったかどうか。
2019年全豪オープン決勝戦、第1シードで世界ランク1位のN.ジョコビッチと第2シードで世界ランク2位のR.ナダル(スペイン)の対戦。
セットカウント3-0(63 62 63)でジョコビッチがナダルに勝利し、史上最多となる7度目の全豪オープン制覇を果たしました。
第1セットからジョコビッチが精密なストロークで試合をコントロールします。
少し硬さの見えるナダルに対し、第2ゲームを早々にブレークしたジョコビッチは、自身のサービスゲームでナダルに1ポイントしか渡さない圧巻のプレーで第1セットを計2ブレイクし、63と先取します。
第2セットも、いよいよジョコビッチに隙はありません。
第4ゲームから2度のブレークを含む5ゲームを連取。
ストロークではネットの安全圏を通しつつも、深く、伸びのあるボールを常に打ち込み、このセットのアンフォーストエラーは1本という驚異的な安定感で第2セットも連取します。
第3セット、ようやくナダルも、持ち前のディフェンス力に加えて深い配球も見られるようになりましたが、サービスゲームのジョコビッチはナダルの攻撃を寄せ付けず、僅かに1度だけ訪れたブレークポイントも凌ぎ切ります。
そしてこのセットもナダルから2度のブレークを奪ったジョコビッチがストレート勝ちで優勝を決めました。
ジョコビッチは史上最多となる7度目の全豪オープン制覇を果たし、昨年のウィンブルドン、全米オープンんに続いてグランドスラム3大会連続の制覇を達成しました。
また、通算でも、15回目のグランドスラム優勝で、歴代単独3位(1位:R.フェデラー20回、2位:ナダル17回)となりました。
意外なほど、一方的な試合になってしまったのは、ナダルの動きがベストではなかったこともあったと思います。
準決勝からの2日間の休養で却ってリズムが崩れたのか。
ただ、ジョコビッチの2ndウィークに合わせきったパフォーマンスは凄みさえ感じます。
ジョコビッチの深く、伸びのあるボールに、ナダルのラケット軌道がうまくアジャストできないシーンも多く、また、相手のプレースメントに対する予測精度の高さも際立っていました。
ナダルが、ジョコビッチのいるところにわざわざ合わせて打っているような、どこに打ってもジョコビッチが待っているような。
次元の異なる者同士の対戦を決めたのは、この日の調子の差と、ちょっと次元そのものの差もあったことだったでしょうか。
あっという間の熱狂の2週間、2019年全豪オープンは閉幕です。
シングルス優勝者は、磐石の王者・ジョコビッチと、時代の到来を予感させる新女王・大坂なおみでした。
次のグランドスラムは、難攻不落のナダルの城、ローランギャロスのクレーコートが舞台です。
危機感を持った城主は、また不屈の闘志を燃え上がらせていることでしょう。