2019 グランドスラム 全豪オープン11日目、ボトムハーフの準決勝、ナダルとチチパスの大一番。
大会ドロー(トーナメント表)はこちら↓

ボトムハーフ、決勝に進むのは誰か。
いよいよ緊張感もピークです。
また、女子、大坂なおみの快進撃も継続中、準決勝も強敵、ka.プリスコバです。
今回も、まずプレビューとして本稿を揚げ、結果を追記する方法でひとつの記事とします。
よろしければご再訪ください。
準決勝
R.ナダル(2) vs S.チチパス(14)
62 64 60
過去の対戦はナダルから2勝0敗。
いずれも昨年で、いずれもストレートで決着しています(バルセロナ、カナダ)。
但し、チチパスの成長速度は尋常ではありませんし、また、グランドスラムでの対戦は初めてなのでどうなるのか予想は困難です。
ただ、ナダルも非常に調子が良い。
準々決勝までの5試合、失セットなし。
そして、今大会、A.デミノー、F.ティアフォーといった、急成長のネクジェンボーイズを危なげなく破ってきました。
また、周囲もそろそろ意識しはじめた前人未踏の大記録、「ダブル・キャリアグランドスラム」の達成が視野に入ってきた今、モチベーションも急激に上がっているのではないでしょうか。
[2018/01/24:結果追記]
げに恐ろしきはネクジェンハンター・ナダルよ。
ロッドレーバーアリーナは青い土のコートだったのかと思うようなナダルの劇勝。
第1セット、ナダルは、最初から全てのポイントを奪いにいくような勢いでした。
チチパスはサーブ確率も悪くなく、ファインショットもありましたが、凡そラリーステージでは攻めているはずがいつの間にか劣勢に。
決定打の機会を窺う前に押し込まれ、角度をつければ、コートの外からでも更に厳しいボールを打ち込まれます。
チチパスは第2セット、温まった若い身体を使ってギアを上げるものの、ブレイクポイントにも至りません。
第3セット、若者は、自身のポテンシャルを最大限引き出そうとするのですが、ナダルは攻め疲れどころか、勢いにのって更に早い攻撃をしかけます。
ナダルのミスが重なり、ブレイクポイントを1回だけ与えられたものの、完璧にセーブされ万事休す。
このセット、グランドスラムのセミファイナルでベーグルを焼かれるという屈辱を受け、結局、1時間46分で試合は終わりました。
A.デミノー、F.ティアフォーに続き、チチパスも完璧に抑えられました。
少年時代から映像で観てきたテニス界のヒーロー達、なぜ、彼らがいまだにBIG4と呼ばれるのか、数字だけの話でなく、同じ舞台で身体に刻み込まれたことでしょう。
女子 準決勝
大坂なおみ(4) vs Ka.プリスコバ(7)
62 46 64
大坂から1勝2敗、負け越しています。
大坂が制覇した昨年の全米オープンでも対戦はありませんでしたが、その直後の大会(東京 東レPPO)の決勝ではプリスコバが勝利しており、グランドスラムでは初めての対戦となります。
今大会プリスコバは、S.ウィリアムスとの準々決勝を、辛くも制して上がってきました。
大坂は、全豪準決勝進出時点で、自己最高のWTAランキング3位以上になることが確定しました。
これまでの日本女子最高の伊達公子さん、日本男子最高の錦織圭の4位も抜くことになり、全豪直後の1月28日付けの世界ランキングで日本史上最高位の選手となります。
「自信」が人を変える。
大坂なおみを見ていると、この言葉の示す意味がよくわかるような気がします。
自分の感情を、正負拘わらずありのままに表現しているように見えて、その背後にはすべて「自信」が滲み出ています。
彼女のオフィシャルな応対は、インタビューやプレカンの席でも茶目っ気たっぷりで、表現も独特です。
そのやりとりを多くの日本のマスコミは「なおみ節」ともてはやしていますが、その内容は、自己をリラックスさせることと、「自信」を深めることをも目的としたものであることがわかります。
恐らく、これも、彼女のコーチであるS.バジン氏の指導のひとつではないでしょうか。
「自信」を与えるのではなく、自分の力で「自信」を確かなものにする振る舞いをせよ、と。
人は、「自信を持て」とよく言い、また言われます。
しかし、よく考えてみると、言うほうも言われるほうもその方法はまったく理解できておらず、その言葉は単なる常套句であることがわかります。
公の場で、対戦相手や周囲をリスペクトしつつ、ジョークも含めて前向きな表現を心がけることで、既に持っている「自信」を更に深めること。彼女はそういうことを忠実に実践しているものと思われます。
天性の素質とポテンシャル、そしてハードワークに耐える身体と精神を持ち、そしてそれらすべてを「自信」の裏づけとして自己に還元する方法論をも身につけつつある彼女は、近いうちに、世界中にほんの一握りしかいない同様のレベルの者たちに並ぼうとしています。
テニスという競技を通して、彼女のそのような成長を見ることができていることは、我々にとってもとても有意義で、感謝すべきことだと思います。
彼女が日本人であるという、我々にとっては非常に矮小なきっかけ(完全な欧米ネイティブな他の選手より、単純なナショナリズムと親近感を感じる)もあるのですが、それ故に多くのことを感じ、学べることができました。
余話が思いのほか長くなりました。
準決勝、楽しみたいと思います。
[2018/01/24:結果追記]
大坂、お見事でした。
プリスコバもさすがに技術、精神面とも高水準、全体的には大坂が押していたものの、ひとつ間違えば天秤はプリスコバに傾いていたかもしれません。
特に、ファイナルセットの第2ゲーム、大坂は見事なプレイで切り抜けたものの、ギリギリまで追い詰められました。
あそこでブレイクされていたらどうなっていたか。
この試合だけ見ても、大坂のメンタルの進化がわかります。
そして、またひとつ、経験を吸収し、ついにグランドスラム2大会連続の決勝へ!
タフな試合を勝ち抜き、次はウィンブルドン2度のタイトルを持つ、P.クビトバとの初対戦が決まりました。
尚、この準決勝の勝利をもって大坂の大会後ランキングは2位以上が確定、しかも、決勝で勝利した方が各々初のランキング1位になるというドラマのような展開になりました。
決勝は1/26、ゆっくり英気を養ってください。